愛着障害とトラウマの関係性とは? トラウマの積み重ねが愛着関係を傷つけていく

「新しいことにチャレンジするのが怖い」

「人付き合いがプレッシャーになってしまう」

このような思いを抱える背景には、愛着障害が隠れているかもしれません。

愛着障害は幼いころに受けた愛着の傷が癒えず、その傷がトラウマ体験となって積み重なることで引き起こされます。

日常生活にも影響を及ぼすトラウマは、どう解消していけばよいのでしょう。

ここでは愛着とトラウマの関係や、トラウマの乗り越え方をご紹介します。

1.愛着とトラウマ

愛着とは「特定の人との情緒的な絆」のことを指します。

愛着はその人の人間関係における基本的な態度を決めるほか、心のあり方、意思決定や行動選択、健康など、精神や身体のさまざまな部分に関係しています。

愛着は親との安定した関わりの中で育まれていきます。

ですが虐待や世話不足、過干渉など、子どもの気持ちを度外視した親の関わりが長い間継続すると、愛着は不安定な状態になってしまいます。

何が愛着の形成を妨げるかは人によって違いますが、例えば、幼いころに親を求める気持ちに対して拒絶や無反応が繰り返されたりすると、自然と触れ合いや助けを求めない行動スタイルが定着します。

反対に親の関心が薄く、騒いだ時にだけ構ってもらえるような環境で育つと、愛着を示す行動が活発になりすぎて、離れていきそうなそぶりがあるだけで強い不安を感じるようになります。

どちらも正反対の反応に見えますが、両方に愛着の不安定さという下地が隠れているのです。

こうして不安定になった愛着は、ネガティブな思考や行動を習慣化させ、ある種のトラウマとなってその人の人生に関わり続けます。

愛着障害とは、このトラウマの積み重ねによって生じると言っても過言ではありません。

愛着障害の特徴をPTSD(心的外傷後ストレス障害)として説明する概念があります。それが複雑性PTSDです。

2.複雑性PTSDとは

複雑性PTSDとは、愛着の不安定さが引き起こすストレス障害の一つです。

フラッシュバック、動悸や息苦しさといった身体的な反応、集中力の低下や悪夢などの過覚醒症状、気分や感情の著しい変化といった、一般的なPTSDの症状が起こります。

加えて感情の調節障害やネガティブな認知、人間関係の維持の困難さなど、愛着障害の特徴を伴います。

通常のPTSDと違うのは、社会生活においての支障が更に大きく、うつ病などの精神疾患との併発が多くみられるということです。

複雑性PTSDの原因は、虐待やマルトリートメントなどのトラウマ体験であるといわれています。

マルトリートメントとは、しつけと称して子どもを怒鳴ったり、「子どもはこうあるべき」といった親の価値観を押し付けたりといった、子どもに対する虐待とは言い切れない不適切な関わりのことです。過保護や過干渉もこれに含まれます。

複雑性PTSDは、そういった軽微なダメージがいくつも積み重なることで起こり得る反応です。目の前で親が喧嘩を繰り返していた、親の精神が不安定だった、行きたくない習い事に無理やり通わされていたといった経験も原因になり得ます。このような経験は子どもの心を傷つけ、愛着を不安定にさせる要因になります。

問題なのはこれらの体験は何ら特別なことではなく、どの家庭にも起こり得るということです。誰もが愛着障害や複雑性PTSDになるという可能性を抱えているのです。

3.トラウマを解消するには

複雑性PTSDの症状は、いわば愛着のトラウマです。

トラウマが関わる反応は、投薬治療だけでは改善しにくいことがわかっています。

あらわれる諸症状への効果は対処療法的で、その効果も大きな期待はできません。

愛着障害も複雑性PTSDも、人間関係におけるつまずきに起因するものですから、人間関係を通じて治療していく必要があります。

傷ついた愛着によるトラウマを解消するためには、まず愛着を安定させることから始めなければなりません。

安定した愛着という土台があって初めて、人はありのままの自分を受け入れ、傷ついた過去を受け止めることができるようになるからです。

一人で安定した愛着を取り戻すことは困難を極めます。

自分のトラウマと向き合いたいと思ったときは、カウンセラーなどの、適切なケアをしてくれる専門家を頼ってみてください。

不安定な愛着を克服するためには、自分を見つめ直し、絶えず振り返ることが大切ですが、そのためには状況を理解し手助けしてくれる人が必要です。

過去と向き合い、内なる自分を見つめ直すことは、体力と精神力を削る作業です。

時には絶望し、時には怒りに支配され、自分を見失うこともあるでしょう。

そういった時に励まし寄り添ってくれる存在は、心の支えとなって愛着の安定を助けます。

その安心感の中でこそトラウマを振り返り、新たな愛着を築き直すことが可能となるのです。

そうして愛着が安定し始めると、認知行動療法などの医療的アプローチや、感情コントロールの訓練なども効果を発揮するようになります。

人間関係の中で生まれたトラウマは、人との関わりの中で癒されていく必要があります。

自分と向き合い、第三者に認められ、傷ついた過去の自分ごと受け入れられる体験をすることで愛着は安定し始め、トラウマも徐々に薄れていくのです。

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